4年目放射線技師が語る、CT造影検査の基本知識~造影検査の種類編~

学生、新人技師に向けて

放射線技師として働く以上は、CT造影検査を避けて通ることができません。

放射線技師が正確かつ効率的にこの検査を実施することは、患者の診断と治療において重要な役割を果たします。

レントゲンやCT単純撮影では分からないことも、造影剤を使うことで鮮明な情報として画像が教えてくれます!

本記事では、新卒の放射線技師の皆さんに向けて、CT造影検査の基本について解説します。

技師歴4年目のきんちゃんが学んだ内容を皆様に提供させていただきますので、一緒に学んでいきましょう!

造影検査への悩み

CT造影検査は、X線を用いて体内の構造や血管の詳細な画像を撮影する方法です。

この検査では、造影剤と呼ばれる特殊な薬剤を使用して、臓器や血管を明確に見えるようにします。

でも、ただ行えばよい、というわけではありませんよね?

事前準備や当日の検査時でも確認しておくべきことや把握しておくべきことが多々あります。

代表的なものですと、

  • 検査目的
  • 撮影方法
  • 造影剤の注入量、注入条件

ですかね、他にもたくさん考えておくべきことがたくさんあると思いますが、

とりあえずは代表的なものとして3つほど挙げさせていただきました。

どこまでのことを事前に調べておけばよいのか?

きんちゃんなりに考える点までお話しできればと思います!

前提

「造影検査」と一口に言っても、造影剤にはいくつもの種類があります。

CT撮影時にはヨード造影剤MRI撮影時にはガドリニウム造影剤健診などで使われるのはバリウム造影剤、など様々です。

この記事では、新人技師がおそらく最も早く経験することになる「CT造影検査」にフォーカスしてお話ししていきます。

そのほかの造影剤を用いた検査については、要望があればお話しさせてください!

本題

本題に入ります。

この記事でお話しする造影検査は大きく分けて以下の4つです。

各検査内容について、検査目的、その検査で見たいもの、撮影するタイミングをお話ししていきます。

前提として。造影検査は右腕がルートキープされることが多いです。

その理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています!

ちなみに、注入条件について詳しく知りたい方はぜひこちらの記事をご覧ください!

また、造影剤の副作用とビグアノイド系薬品についてはこちらの記事をどうぞ!

2相撮影

まずは、2相撮影からです。

最初に質問ですが、2相とは何相と何相のことかわかりますか?

正解は、

  • 門脈相
  • 平衡相

の2つです。

では、それぞれはどのような状態を表す相なのでしょうか?

門脈相

門脈相は、造影剤を静注してからおよそ70秒前後に撮影された状態をいいます。

体内に入った造影剤は、静脈血の流れにのって心臓に戻り、そこから肺を通って次は動脈血の流れに乗って全身をめぐります。

これにより、造影剤が動脈を通して全身に回った状態が完成するわけです。

なお、肝臓に着目すると、肝臓に肝動脈から造影剤が流入します。

その後、肝動脈から肝実質→肝静脈、門脈と造影剤が流れていきます。

肝実質は門脈を経由して肝に流入する造影剤の影響を強く受ける時相を門脈相といいます。

平衡相

平衡相は、造影剤を静注してからおよそ180秒後に撮影された状態をいいます。

造影剤が体循環を何周かするうちに、造影剤は血管内から細胞外液に移行が進み、それらの濃度が平衡に達している時相を平衡相といいます。

3相撮影

先ほどの2相に加えて、排泄相を加えた撮影を3相撮影といいます。

きんちゃんが働いている病院では、排泄相は造影剤注入から5,6分後の撮影です。

上部尿路の画像診断では,病変検出,病変の深達度診断やリンパ節転移,遠隔転移の検索を基本的に CT
で行います。

ヨード造影剤は最終的に尿として排泄されるため、腎臓~尿管~膀胱に流入する状態を造影前後で評価することができます。

肝ダイナミック撮影

この撮影の目的は、造影剤を急速静注して動脈相を含んで多相性に撮像することで肝腫瘍の鑑別、肝細胞癌などの多血性腫瘍の検出、悪性腫瘍の病期診断です。

肝ダイナミック撮影では、先に紹介した2相に加えて、動脈優位相(後期動脈相)を撮影します。

動脈優位相の撮影タイミングは、造影剤注入後40秒前後です。

この相では、肝実質が主に肝動脈で造影効果を示す時相でかつ、門脈が中等度造影されています。

撮影の順番としては、

造影剤注入→動脈優位相→門脈相→平衡相

で撮影していきます。

撮影方法についてはこちらの記事でご紹介しています!

CTA撮影

CTAとは何なのでしょうか?

CT angiography:造影剤を急速投与し、血管系が高濃度に造影されるタイミングで撮影を行い、得られたデータから三次元画像処理を行うことで血管造影に近似した血管像の描出が可能となる撮影法。

つまり、造影剤を血管に急速注入して血管造影を行い、3D画像を作成して動脈瘤や解離などの所見がないか調べる検査です。

頭頸部CTAについて、頭部、頚部の動脈がメインで染まっている相と、静脈がメインで染まっている相の2つが必要なので、それぞれが染まっているタイミングでの撮影を行う必要があります。

きんちゃんの病院では、ボーラストラッキング法を用いて最適なタイミングでの撮影を行っており、その時の撮影タイミングを記録して頚部CTAの撮影に適用しています。(テストインジェクション法の活用)

(頭部)単純撮影→造影剤注入→動脈相撮影→静脈相撮影→平衡相撮影→頚部へ

造影剤が流入する様子を目視で確認しながら、タイミングをみて撮影を行うため慣れていないときはとても緊張しました(笑)

もちろん、タイミングを外せば造影不良で検査失敗となるため、3D画像をきれいに作成するデータを得られるかは技師の腕の見せ所だと言えますね!

失敗を避けるためにも、先輩のタイミングに関するコツや工夫をしっかり教わりましょう。

まとめ

いかがでしたか?

CT造影検査は、患者の診断と治療において非常に重要な役割を果たします。

我々放射線技師は、患者の安全性を確保しながら、高品質な画像を撮影するために適切な技術と知識を持つ必要があります。

その第一歩が2相撮影やダイナミック撮影、CTA撮影などの技術を理解し、実践することです。

目的を明確にして撮影をすることが患者のためになるのはもちろん、診断精度の向上につながります。

ただ、この記事を書いた本当の狙いは、私の知識を再確認して勉強するための機会にするためだったりします(笑)

医学の道に進んだからには日々の勉強は欠かせませんからね!

今回の記事のように、すべての放射線技師に役立つような情報を引き続き発信していくのでぜひ気になったものからご覧ください!

また、放射線技師なら取っておいて損はない資格も紹介しています。

詳しくはこちらの記事をどうぞ!

ではまた

画像引用:Bayer 造影剤ハンドブック | 画像診断情報サイト Bayer in Radiology|医療関係者向け情報

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