診療放射線技師のみなさま、毎日の業務お疲れ様です!
CT造影検査で最も重要ともいえる要素の一つである「注入条件」についてお話ししたいと思います。
確認を怠れば不十分な造影検査につながる可能性が増大するのでこの記事を読んでしっかりと確認しましょう!!
注入条件の決め方が分からない!
注入条件の決め方ですが、正直、これは各施設によって決まりがあると思います。
前提として、この記事でお話しするのはきんちゃんの職場での注入条件の決め方である、という点を認識いただければ幸いです。
ただ、注意しているポイントや理由、根拠としている情報源はおおよそ同じだと思われるため、そのあたりを中心にお話ししていきます。
注入条件の決め方はこれだ!
きんちゃんの職場では、造影剤の注入条件は体重を基にして計算しています。
使用する造影剤の決め方
よく使われているタイプの300mgI/mlのシリンジは100mLのものが多いと思います。
↑イオパミロン300mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより
この造影剤では、体重が60㎏の人までの患者さんに対して用いることができます。
造影の検査をする前には、腎機能、同意書の有無、に加えて体重もしっかり確認しています。
もし体重が60㎏よりも多ければ、より濃度の濃い造影剤を使うことを検討しています。
↑イオパミロン370mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより
体格の良い方にはこちらを使わないと十分な造影効果を得ることは困難だといえるでしょう。
逆に体重が軽い人や腎機能が悪い方には、造影剤の量を少なくしています。
施設の多くは、必要量の8割ほどを目安として検査を行ってるらしいですよ。
針の太さで注入圧の限界が変わる
これは病院ごとに決まりがあると思うので、皆様それぞれで先輩方に確認を撮るのが一番です。
ただ、あくまで「参考」という形できんちゃんの病院での話をしようと思います。
20G針でのルート確保が前提のため、22Gでルートをとる際は看護師から技師に事前連絡が来ます。
検査内容から造影検査の撮影方法を考えて、20Gでなくてもよいか検討をすることはありますね。
画像引用:https://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me11.html
ただし、CTAの場合は圧が最もかかる造影検査なので、どうにか20Gでのルート確保をお願いしたりします(笑)
看護師さん、いつもありがとうございます!!
ちなみに、右腕がルートキープされることが多いですが、その理由については皆様把握していますか!?
こちらの記事でより詳しく解説しているので、気になる方はぜひこちらの記事をご覧ください!
注入条件を決める根拠
さて、注入条件を決める根拠です。
技師が行おうと考えている撮影方法によって、造影検査時の注入圧を変える必要があります。
先輩方がなぜそのような条件でいこうと思ったのか?
その疑問を解決する助けに少しでもなれるように、先に簡単な結論をまとめてみました!
より詳しく見ていきましょう!
TDC(時間濃度曲線)
まずは基本にして原点であるTDC(時間濃度曲線)についてです。
ご存じの通り、TDCとは時間(s)とCT値(HU)の関係をグラフに表したものです。
上のグラフを見ると分かる通り、造影剤の注入圧が高いほど短時間でCT値がピークに達して、その後は速やかにCT値が下がっていくのが見て取れます。
つまり、注入圧が高いほどより造影効のある画像が撮影できるわけです!
そのかわり、タイミングはシビアになる(ピークに達している時間が、注入圧が高いほど短い)のでタイミングを逃したら大惨事になるんですよね(笑)
検査目的と注入速度の関係
造影検査をするからには、必ずその検査をする目的があります。
その目的を達成するためには、どの撮影方法が最適かを考えれば自ずと注入条件を決めることができるでしょう。
というような感じですね。
ちなみに、きんちゃんの病院で行っている造影検査についてはこちらの記事にまとめてみました。
繰り返しになりますが、それぞれの造影検査ごとに何が最もみたいのかを考えながら撮影するとより理解が深まりますよ!
結論:結局どうやって条件を決めれば良いの??
一般に目的臓器の造影の程度は、造影剤の量(mlではなく、mgI、つまりヨード量で考える)と静注速度(ml/sあるいはmgI/s)、静注時間(造影剤を静注開始してから全量静注し終えるまでの時間)に依存します。
そして、造影剤の量は患者の体重によって決定されます。(一般に400~600mgI/kg程度必要)
つまり、造影剤の量(患者の体重)、静注速度、静注時間の3つが検査前に分かれば良いというわけです!
静注時間については、撮影方法によって異なるため、行おうとする撮影方法が決まればおのずと決まります。
ちなみに、きんちゃんの病院では造影剤の量は600mgI/kgでの造影を求められます。
(例)50kgの方の2相撮影の場合
600mgI/kg×50kg=30,000mgI
つまり30gIが必要量になります。
2相撮影では50秒注入の60秒後に撮影をします。そして2相、あるいは3相撮影の場合は、だいたい1.5~2.0ml/sが注入圧です。仮に2.0ml/sとしましょう。
2.0ml/s×50s=100ml
300mgI/mlシリンジで100ml使用する場合は、補える総ヨード量が
300mgI/ml×100ml=30gI
必要な総ヨード量と、使用する造影シリンジの総ヨード量、そして撮影に必要な液量(ml)とシリンジ1本で賄える液量が一致しましたね!
また、60kgの人の場合は
600mgI/kg×60kg=36,000mgI
になります。
300mgI/mlのシリンジでは
36000mgI÷300mgI/ml=120ml
370mgI/mlのシリンジでは
36000mgI÷370mgI/ml≒97ml
が必要な造影剤量になりますね。それぞれの体重に適した造影シリンジを使うことで十分な造影効果を示した画像の撮影ができるでしょう!
(一部:https://takuchan.site/zoueizairyouより引用)
まとめ
久々の算数できんちゃんも頭をフルに働かせました(笑)
慣れるまでは複雑ですが、慣れてしまえば感覚的に適切な造影条件を決めることができるようになるでしょう。
そして先輩技師は各々の経験則に基づいた根拠も持ち合わせています。
造影理論をマスターした今、あとはひたすら造影CT検査を担当して、あなただけの経験値をガンガン積み上げていきましょう!!
造影関連の記事を他にもまとめているので気になる方はぜひそちらの記事もご覧ください!
ではまた
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