みなさんこんにちは、診療放射線技師のきんちゃんです。
今回の記事では、腰椎レントゲン撮影についてお話ししようと思います。
胸写、腹写、頭部ときて次は腰椎でございます。
なぜ腰椎なのか?
実はここまでの並びは、きんちゃんが今の職場に入ってレントゲンを担当していた時に教えていただいた撮影方法の順番だからだったりします(笑)
前回の記事でまとめた胸写編、腹写編、頭部レントゲンの続編となっているので、まだそちらを見ていない方はぜひご覧ください!
個人的には、腰椎レントゲンは登竜門だったりするのでこれを乗り越えれば初心者から中級者になったといっても過言ではあません!
早速学んでいきましょう!
腰椎って何?
前提知識を確認しましょう。
腰椎とは、人間の背骨のある範囲をまとめた総称です。
背骨のことを医療従事者らしく、「脊椎」と呼びます。
脊椎は大きく分けて、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾骨に分類されます。
今回の記事で紹介する撮影部位は腰椎ですが、いずれは他の椎体の撮影方法もお話しするつもりです。
乞うご期待ください!
腰椎撮影について学ぼう!!
それではここから腰椎レントゲン撮影について学んでいきます。
まずは、撮影する際の患者の体勢から見ていきましょう!
撮影体位の種類
腰椎レントゲン撮影には、基本的な撮影体位が6つあります。
多いですよね(笑)
新人時代は、レントゲンが混んでるときに、ポンっと腰椎6方向を出されたら発狂しかけてました、、、
さて、様々な病院で実際に撮影している、このメジャーな6方向の撮影体位を以下にまとめました。
椎体の中で最も撮影頻度が高いといっても過言ではない腰椎撮影、さっそく一緒に学んでいきましょう!
全体で共通しているポイントと撮影の流れ
腰椎レントゲン撮影の際に、どの体位でも共通しているポイントと実際にきんちゃんの病院でやっている撮影の流れをお話ししていきたいと思います。
撮影する際の流れを把握することでイメージをしっかり固めましょう!
大まかな流れは以下の通りです。
- 患者情報と検査目的の確認
- 患者の呼び込み
- 撮影の説明と準備
- 正確なポジショニング
- 息止めの合図に合わせて撮影
今回も、一部割愛してお話しします。
患者情報と検査目的の確認
撮影を始める前に、患者の情報と検査の目的を確認しましょう!
これは、正確な診断と適切な撮影方法を選択するために重要です。
患者の氏名、年齢、性別、既往歴、状態などをチェックし、医師からの指示と検査目的を再確認して撮影方法の変更が必要ないか?を確認します。
特に、腰椎を撮影しに来る人はほぼほぼ腰が痛い人です。
硬くて冷たい撮影台に寝てもらうのがしんどい場合は、クッションや柔らかいマットを事前に敷いてあげるようにしましょう。
再現性はやや劣りますが、効率的で患者さんのことを思った検査を実施するためです。
息止めの合図に合わせて撮影
きんちゃんの病院での話になりますが、腰椎レントゲン撮影の場合はポジショニングが完了したら、患者に大きく息を吸った後で吐き出してもらってから息を止めてもらいます。
息止めをしてほしい、というよりは息を止めて体が動かない状態にしたい、といった感じでしょうか?
こちらの指示が入らない患者の場合(寝たきり、意思疎通不可)は胸や腹の動きを見て、動きがほとんどない時を狙ってタイミングよく撮影ボタンを押します。
撮影した画像を確認して問題がなければ検査終了です、お疲れ様でした!
それぞれの体位での撮影で注意するポイント
次に、それぞれの撮影時に注意するポイントについてお話ししていきます。
正面撮影
正面撮影で最も重要なのは、体がまっすぐになった状態で撮影しているかです。
側彎症や生理的側彎の場合でも、椎体はおおよそ体の中心を走っています。
体が斜めの状態で撮影すると、出てきた画像も斜めのため見栄えが良くありません。
また、椎体に所見があった際に、それが何番の椎体か?数えられるように仙椎は必ず入れましょう!
下から番号を数えて、「腰椎〇番に圧迫骨折のような所見がありました」と報告することが多いですからね。
入射中心点ですが、きんちゃんは腸骨稜上端から2押子上の高さに入射するようにしています。
L3(3番腰椎)が画像の真ん中に来るとバランスが良いので、いろいろな本数で試した結果、今の形に落ち着きました(笑)
側面撮影
側面の前提は、真横であることです。
背中、腰を直接触って真上から見ることで体の傾きを修正しましょう!
また、膝を曲げて可能な限り安定した状態で真横の姿勢を維持してもらうことも大事です。
患者によってはそれでも不安定な場合があるので、その際はプロテクターを着て姿勢保持しながら撮影しましょう。
入射中心点ですが、きんちゃんは先輩から、「背中側より4押子、腸骨稜上端より3押子上」と教わりました!
まず背中に手を当てたら、その手に垂直になるように反対の手を添えて4押子腹側にいた位置がAP方向の中心点です。
あとは腸骨稜上端から3押子上に照射野中心を持ってくればOKです!
側面前屈位
前屈位撮影では、側面と比較して体を丸めた状態で撮影します。
健常者でも、丸まり具合が甘い人は結構いるのでこちらでサポートしてあげましょう!
膝をぐっと胸に近づけさせるように前屈させるときれいな前屈位が撮影できます。
なお、体が傾いて側面が崩れないように背中や腰も触って位置調整してから撮影しましょう。
側面後屈位
前屈位と反対に、背中や腰をそらせて撮影するのが後屈位です。
患者に声掛けをして後屈位になってもらいつつ、必要に応じて後屈位の介助をしましょう!
へそを前に突き出すようにしてもらい、補助する際は患者の背中側から前太ももと肩を引っ張ると良いでしょう。
側面の姿勢保持に気を付けつつ、素早く撮影をすることで患者の負担を軽減してあげるとグッドです!
第1斜位、第2斜位
斜位撮影で重要なのは、体全体を均等に動かして上半身と下半身にねじれが生じないようにすることです。
患者の体を丸太に見立てて、均等に体全体を傾けることを意識するように!ときんちゃんは先輩から教わりました。
三角クッションのような補助具がある施設の場合は、それを活用してポジショニング保持に役立てましょう。
入射中心点については、RL方向は、頭側から見てあげている側の体から1/3の位置、腸骨稜上端から3押子上の点で撮影しています。
また、斜位撮影では、画像上でスコッチテリアサインが描出できているかがとても重要です。
画像引用:https://www.yosi-sisei-sports.com/separation-disease
教科書的には、40度ほどの斜位が良いとされていますが個人差があるので適宜調整していく必要がありますね。
自分自身の感覚を頑張って養っていきましょう!
個人的な経験と学んだこと
ここからは、私が診療放射線技師として働いてきたなかで、学んだ経験などをちょろっとお話しします。
実際にやってみると段違いに撮影効率が上がるものもあります。
試せるものからどんどん試してみてください!
撮影台に柔らかいクッションシートを敷いておく
撮影台はとても硬くて冷たいです。
そして腰椎を撮影する患者の99%は腰に痛みを抱えています。
そんな人が撮影台の上できびきび撮影体位を変更できるでしょうか?
実体験ですが、痛みで騒ぎ続けて動き続けていつまでも撮影できませんね(笑)
そんな時は柔らかいクッションシートのようなものを敷いて、その上に寝てもらうようにしましょう。
患者が協力的になって撮影継続難易度がぐっと下がります!一気に撮影しやすくなりますよ!
撮影の順番を工夫する
6方向撮影する場合は、撮影の順番を変えるだけで患者の負担を軽減し、撮影効率を向上させることができます。
きんちゃんが腰椎6方向を撮影する順番は以下の通りです。
正面→LAO→RAO→側面→側面前屈位→側面後屈位
この順番であれば、腰に痛みを抱える患者に最低限の動作で検査を受けてもらうことができます。
先輩方の撮影する順番にも意識してみましょう!
目的とする椎体に対して可能な限り垂直に入射させる
少し応用的な内容になります。
きんちゃんのポジショニングでは、L3に垂直入射させた画像が出ることが多いです。
しかし、放射線は文字通り放射状に広がるので入射中心点から離れた椎体ほど斜め向きでの入射、撮影になってしまうわけです。
なので、もし「L1圧迫骨折精査目的」のような患者の撮影をするときはL1が入射中心点に来るように調整してみてください。
L1に対して綺麗な垂直入射ができれば、目的に対して最も適した画像の撮影が可能になりますよ!
姿勢保持が困難な場合は、撮影の直前まで保持をする
どの撮影体位でもお話ししている内容ですが、特に側面や斜位で重要です。
高齢者の場合は1/3の割合で撮影直前までの補助が必要な印象なので、素早い撮影が求められます。
円背の患者などは、そもそも正面でも不安定なことが多いので患者の状態をよく観察するようにしましょう!
慣れないうちは他の人に撮影ボタンだけでも押してもらうこともありですよ!
まとめ
腰椎レントゲン撮影におけるポイントをおさらいしてみましょう。
まず、撮影台に柔らかいクッションシートを敷くことは、患者の痛みを軽減するために重要です。特に高齢の患者や痛みを抱えている患者には、少しの工夫で大きな違いを生みます。
次に、撮影の順番を工夫することも考慮してください。姿勢保持が困難な場合は、撮影直前まで患者をサポートし、しっかりとポジショニングを維持しましょう。特に高齢者や身体に障害がある患者には、サポートが必要です。
腰椎レントゲン撮影は、患者にとって負担が大きいこともありますが、これらの工夫を通じて、より快適で正確な検査を提供することができます。
患者の安心と安全を第一に考えながら、丁寧に対応していきましょう。
これであなたも腰椎マスターですね!
ではまた
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