【5年目技師が語る】頭頚部CTAの検査目的・流れ・注意点まとめ~頭部CTA編~

新人放射線技師はまずここから!

頭頚部CTAを撮影出来たら1人前

脳神経外科病院に勤務していた時は、「頭頚部CTAが撮影出来たらCTは1人で回せる」みたいなことを先輩から言われていました。

造影検査の中でもCTAを撮影できるようになったら、成長を実感できるのでうれしいですよね!その反面、複雑なことをやっているため撮影手順や目的を把握できるようになるまでは時間がかかるもの。

撮影手順を把握したい方や、全体の流れを知っておきたい方、他の病院でのやり方を知りたい方にはぜひ読んでいただきたい記事です。

きんちゃんが実際に経験した内容を基にまとめたので、参考にしていただければ幸いです👍

この記事を書いたきんちゃんの職歴
  • 「きんちゃん」20代診療放射線技師
  • 放射線技師歴5年目(2025年4月30日現在)
  • 大学病院、総合病院、中小規模病院(脳神経メイン、循環器メイン)経験
  • 2回の転職で、XP、CT、MRI、骨密度測定、透視、アンギオ、放射線治療を経験

撮影の最終目的は、頭頚部血管を造影→3D画像を作成すること!

画像引用:https://medical-checkup.info/article/78898693.html

そもそも頭頚部CTAの撮影目的は何なのでしょうか?オーダーの検査目的を確認してみましょう。

よくある頭頚部CTAの検査目的たち
  • Rt-MCA AN精査
  • Lt-ICA AN術後 f/u
  • Rt-neckICA 狭窄精査

などなどetc…

MCAやICAなど、脳外科にいたら嫌でも覚える医療略語がたくさん出てきましたね。意味が分からない方は、きちんと調べないと先輩に怒られますよ!

検査目的も分からないで撮影していたのか!?

頭部CTAのオーダーが出る患者には、脳血管や頚部血管の中で精査したい部位や所見、手術をした箇所があるため、造影剤を流して血管を造影します。

撮影して得られた画像データを使って、3D画像を作成したいから検査オーダーが出ているわけです👍

頭頚部CTAの流れ(経験則のため施設による)

まずは頭頚部CTAの検査の流れを確認しましょう。以下に、きんちゃんが実際に行っていた流れをまとめました。

  1. 患者入室
  2. 検査説明、ポジショニング
  3. 頭部単純撮影
  4. 頭部CTA撮影
  5. 頭部造影撮影
  6. 頚部ポジショニング
  7. 頚部CTA撮影
  8. 撮影終了、再構成

頭部CTAの際は、頭部単純、頭部造影画像の撮影がルーチンとなっていました。当記事では、1~5までの手順を紹介していきます。

患者入室

まずは患者を検査室まで案内します。看護師さんが連れてくることもありますが、技師自身でお連れして本人確認を行います。

患者の本人確認が完了したら、ルートが20Gか、耐圧チューブか、逆血はあるか、などしっかり確認してベッドに寝てもらいましょう。

頭、頚部を撮影するため、眼鏡や補聴器、他にも金属や機械類を身に付けていたら外してもらう必要があります。入れ歯も外せるなら忘れずに外してもらいましょう!(入れ歯は特に忘れがち!)

  • 患者の本人確認
  • 造影ルートは問題ないか?
  • 撮影範囲に被る金属、機械類は外してもらう(入れ歯は忘れがち!)

検査説明、ポジショニング

頭頚部CTAを経験した患者も、初めて検査を受ける患者も同様に検査説明を行います。必ず伝える点は次の3つです。

  • 頭は絶対動かさない(返事、うなずきも不要)
  • 造影剤が入ると熱く感じるけど心配ない
  • 気持ち悪くなったら、すぐに声を出す or 体を動かして伝える

下2つは、造影検査を行う患者全員に伝えている内容です。

「頭を絶対動かさない」理由は、再構成の時に効いてきます。サブトラクション処理で3D画像の元データを作成するのですが、サブトラで使うデータにブレがあると綺麗に血管だけを抽出できないんですよね~

そのため、頭部をがっちり固定して患者本人にも頭を動かさないように注意してもらっています。

(詳細は再構成の話で解説します!)

ポジショニングですが、頭をガチガチに固定する以外は頭部CTの時と同じです。OMラインに合わせて、左右の眼窩が水平になるように頭の位置を合わせればOKです👍

  • 患者への説明
  • 頭部の固定はしっかりしたか?
  • 頭部CT撮影のポジショニングはできているか?

頭部単純撮影

画像引用:https://www.miyagawa-hospital.com/information-department/houshasenbu/ct/toubu-ct/

まずはルーチン撮影の一つである頭部単純撮影を行います。

これに関してはどの病院でも行われている検査と全く同じなので、解説は割愛します(笑)

撮影した画像がぶれていないか確認したら、頭部CTAの準備を進めていきます!

頭部CTA撮影

画像引用:https://www.innervision.co.jp/ad/suite/canonmedical/clinicalreport/1802

頭部CTA撮影は大きく分けて4シーケンス撮影を行います。

  1. サブトラ用単純
  2. Real prep用スライス
  3. 頭部動脈相
  4. 頭部静脈相

1,3,4はすべて撮影範囲は同じです(脳実質が入り切るように)。頭部CTと撮影角度が異なり、OMラインではなく頭蓋底の角度に合わせて撮影していました。

頭蓋底の角度に合わせることで、脳血管の傾きとほぼ同じになるとのことです。

きんちゃんが働いていた病院では、頭部MRAも頭蓋底の角度に合わせて撮影していたので、CTA+MRAのフュージョン3Dも作成していました。

Real prep用スライス

Real prep用スライスの撮影も造影剤注入前に行います。撮影するスライスは下の画像のように、ICAが垂直に上昇してくるスライスです。

病変部のある側に対してROIを設置して、造影剤によるCT値上昇具合を観察できるようにしていました。(例:Lt-MCA ANなら左側にROIを置く)

画像引用:http://medicalimagecafe.com/tool/head/01.html

水平に走っている箇所(ICA~MCA分岐部など)では、造影剤が流れてきた時の染まり具合を観察しづらいのでICAが垂直(頭尾方向)に走っているスライスを撮影しましょう。

上記スライスを撮影する目安は、トルコ鞍の下端を挟み込むようなイメージです。

造影剤のセッティング&患者への最終説明

画像引用:https://www.innervision.co.jp/expo/products/nemoto_pe_pressduoelite

撮影範囲や撮影角度などを設定し終えたら、造影剤のセッティングを行います。CTA撮影では、濃度が高いヨード造影剤(350I)と後押し生食をつなげて使用していました。

造影剤のセッティングが終わったら、患者に対して最後の説明を行います。伝えることは最初に説明した3つの内容と同じです。

  • 頭は絶対動かさない(返事、うなずきも不要)
  • 造影剤が入ると熱く感じるけど心配ない
  • 気持ち悪くなったら、すぐに声を出す or 体を動かして伝える

いきなり話しかけられると患者もつい返事したり動いてしまう恐れがあるので、前置きをしてから説明をしましょう。

お体動かさずに聞いてください。今から造影剤を使って~

造影剤のセッティング&患者への最終説明が完了したら、いよいよ造影剤を注入して撮影を行います!

頭部CTAは撮影タイミングが命!!

頭部CTAは撮影タイミングが命です!!造影剤が頭部血管を染めた状態で撮影を行えたら、問題なしです。

ここまでの準備でどれだけもたつこうが、ここさえできていれば検査は成功といえるでしょう。逆に言えば、タイミングを外したら検査失敗ということですが、、、

病院によって、撮影タイミングは異なると思います。きんちゃんの例を挙げると、ROI内のCT値が210を超えたらスタートするように撮影プロトコルを組んでいました。

造影剤注入を開始したら、グラフが出てくるのでそれを見ながら造影剤が問題なく入っていることを確認しましょう。

石灰化がひどく、CT値をうまく拾えなさそうな場合はマニュアルでの撮影を推奨します。造影剤の染まり具合を見て、目視でスタートさせればOKです!

  • 撮影プロトコルは組まれているか?
  • 造影剤のセッティング&患者への最終説明は済んだか?
  • 頭部CTAの撮影タイミングは理解しているか?

頭部造影撮影

画像引用:https://imaging-diagnosis.com/view/8bPuScYN

頭部CTAで動脈相、静脈相を撮影できたことが確認できたら、頭部造影撮影を行います。脳実質のスクリーニングで、血管以外に造影効果を示す所見がないかを確認するためです。

BBBがあるはずの脳で、脳実質が染まるような所見があればすぐに対処が必要になりますからね。

検査終了!患者をベッドから降ろす前に、、、

頭部造影撮影まで行えば、検査終了です!(病院によってはCTA撮影までで終了の場所もあります)

さあ患者をベッドから降ろそう!

とその前に、今一度撮影した画像に問題が無いか確認することをおすすめします。撮影した画像に問題がなければ、患者をベッドから降ろして次の場所に案内しましょう!

また、造影剤を使用した直後は必ず患者の様子を観察して、副作用が出ていないか注視したほうが賢明です。咳やくしゃみ、発疹などが見られないか気にしてみてください。

お疲れさまでした!!

  • 必要な画像をすべて撮影したか?
  • 撮影した画像に問題(ブレ、濃度不足)はないか?
  • 患者の様子に違和感はないか?

まとめ:頭頚部CTAをスムーズに撮影するために

頭頚部CTAの撮影は、総合病院に限らず中小規模病院でも行われる検査業務です。

通常の造影検査よりも難しいポイントはありますが、手順を理解し、大事なポイントを押さえておくことで安定した検査が可能になります。

頭部CTAの大事なポイント
  • 頭部CTAの検査の流れを理解しているか?
  • 今から撮影する患者の検査目的を把握しているか?
  • 頭部CTAの撮影タイミングの重要性を認識しているか?

この記事を読んだ皆様は、頭部CTAの流れや検査目的、大事なポイントを理解できたかと思うので次のステップである「頚部CTA」に進みましょう!

頭部CTAと頚部CTAを理解して検査できるようになれば、先輩からも「1人前だな」と言ってもらえるはずです!!👍

ではまた

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