レントゲン撮影におけるS値とG値の理解

レントゲン撮影に日々明け暮れている放射線技師の皆さん、お疲れ様です!新人技師の方はぼちぼち業務にも慣れてきたのではないでしょうか?
特に最初に教わることの多いレントゲン撮影は、ほぼ1人で回せるようになっていることでしょう。ですが、撮影をするだけでは技師免許さえあれば誰でも出来てしまうのもまた事実。
より知識を身に付けることで、職場の先輩のように優秀な放射線技師になるのです。自己成長を目指すのであれば知っていて損しない、そんなテーマとして「S値とG値」を本記事でまとめてみました。
新人技師はもちろん、それ以外の技師の方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
「S値とG値」をどこまで知っていますか?

レントゲン撮影をすると、画像の右上にS値:○○、G値:○○と表示されますよね。これらは画像の見た目を変えるときに調整する数値であり、PACSに送信する前に見やすい画像にすることが我々放射線技師の専門業務でもあります。
でもここで悩んでいる方が多いのは周知の事実!
PACS送信前に、先輩技師がピピっと画像の濃淡を調整していますが、どのような意図があってその色にしたのかを知らない方がほとんどでしょう。
逆に先輩技師側も、正直何となくで色合わせをしている方も多いのではないでしょうか、、、?(ブーメラン発言😅)
そんな皆様の悩みを少しでも解消できるようになるべくかみ砕いてお話しさせていただきます!
S値とG値とは?どう影響するのか?

S値とG値は結局何なのでしょうか?ズバリこのことです。
感度とラティチュードを表す言葉だったのですね!ああ、すっきりした!
とはならないですよね。
皆様が撮影したX線画像を、実際に「ちょうど良い画像」にS値とG値を調整できるようにするため、順番にお話ししていきます!ちなみに「ちょうど良い画像」とはこのような画像です。
「ちょうど良い画像」=所見を見つけることが可能な画像(読影しやすい画像)
S値はこんな時にいじる

S値を調整するのはどのようなときでしょうか?それは、画像の見た目が白い or 黒いときです。
レントゲン撮影をした後で画像を確認したら、全体的に白く飛びかけていたり、逆に暗すぎて見づらかったり、なんて経験をしたことはないでしょうか?
S値を調整するのはこの時です。S値を高くすると画像は黒く、低くすると画像は白くなります。
ポチポチっと数値をいじるだけで全体的な見栄えを良くすることができるので、どんな体格の人でもある程度は同じような見た目の画像に処理することができます👍
G値はこんな時にいじる

G値を調整するのはどのようなときでしょうか?それは、見た目が軟い(コントラストが無い)とき、もしくは硬い(コントラストが強すぎる)ときです。
胸写の時は120kVのような高い管電圧で撮影している施設がほとんどでしょう。ですが、患者の体厚によっては、125kVなどに上げて撮影をすることもあると思います。
※上げ幅も人それぞれですが、きんちゃんはせいぜい2,3kV。高くても125kVまでで十分、とのご指導を賜っています。
撮影時の管電圧が不十分、あるいは過剰だとコントラストがない or 強すぎる画像になってしまうわけですね。
このときにG値を調整して見栄えを良くすることが可能になります。G値を動かすとS値も一緒に動くことがあるので、単体で調整する機会はS値よりは少なそうですね。
S値とG値の関連因子

ここまで読んでいただいた方は、どんな時にS値とG値を調整すればよいのか理解できたと思います。そして、勘の良い方はこのあたりで気づくのではないでしょうか?

S値とG値はそれぞれ、mAs値と管電圧に関係している、、、?
レントゲン撮影時に撮影条件を変えることで、画像の見え方は変わってきます。撮影条件と画像の見え方の関係性がまだ把握しきれていない方は、詳細をまとめた以下の記事をご覧ください。
グリッドの使用などで、撮影条件の数値を変えなくてもコントラストが変わりますが、あくまで補佐的なものなので今回は割愛します。
S値とmAs値

S値を調整するのは、画像の見た目が白い or 黒いときです。
では画像が白くなったり黒くなったりするのはなぜか?それは撮影に必要な線量が不十分 or 過剰であることを意味しています。

あまりに適正値から外れている場合は再撮影をしないと、読影に必要な画像とは言えません。ですが、AECによってある程度適切な線量への補正はされています。
それでもやや全体的に白すぎたり、黒すぎたりするときにS値を使って調整すれば「ちょうど良い画像」を誰でも作れるようになるでしょう。
G値と管電圧

G値を調整するのは、見た目が軟い(コントラストが無い)とき、もしくは硬い(コントラストが強すぎる)ときです。
画像のコントラストがない or 強すぎることがあるのはなぜか?それは、管電圧が高すぎる or 低すぎることを意味しています。

画像引用:https://blog.goo.ne.jp/uhtanextra
管電圧が異なることで、全体的にのっぺりした画像(高管電圧)ときりっとした画像(低管電圧)の2種類に分かれます。どちらにも読影する上でメリットとデメリットがあるのですが、極端すぎては意味がありません。
先輩たちに色合わせのポイントを確認しながら、G値を変更して自分にとって最適だと思うコントラストへの調整を目指しましょう!
まとめ:S値とG値はこんな感じです

S値とG値について、少しでも理解が深まったでしょうか?最後に、それぞれの特徴と数値の調整をする場面をまとめました。
- 感度のこと
- 線量が不足 or 過剰なときに調整する
- 主に関係するパラメータはmAs値
- ラティチュードのこと
- コントラストがない or 強すぎるときに調整する
- 主に関係するパラメータは管電圧
実際の現場で役に立つ内容を中心にまとめたので、明日からのレントゲン撮影では怖がらずにS値とG値を調整できるはずです!
自分の手で数値を変えることで、感覚的にも画像の見た目の変化を覚えられると思います。積極的に調整してS値&G値マスターになりましょう!
※もちろん、調整する必要がないように撮影条件を最適化することも忘れずに!!
他にも現場で働く放射線技師に役立つ記事をまとめているので、ぜひ他の記事もご覧ください!
ではまた
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