今回は、ラトケ嚢胞についてお話していきます。
この記事を読んでいただいた皆様も私と一緒に新たな知識を獲得して成長しましょう!!
ラトケ嚢胞とは??
ラトケ嚢胞とは、脳下垂体に生じた粘液を含んだ袋状の嚢胞です。
人間は母体の中にいる段階から、ラトケ嚢胞の元となる細胞を有しています。
この細胞は下垂体の中のラトケ裂という場所に存在しています。
我々が母体から生まれてくるまでに、ほとんどのケースでは退化しきって袋状になることはありません。
一方で、たまたまラトケ裂が袋状になったことにより、
その袋の中に分泌された粘液が貯留していきます。
これがラトケ嚢胞です。
多くの場合は、サイズが急変することがまれで、発見したとしても症状が特になければ
直ちに手術を検討するのではなく、経過観察で様子を見ることが多いです。
どんな症状があるの?
ラトケ嚢胞があることで起こる症状は大きく分けて、
- 頭痛
- 視力障害、視野障害
- 下垂体ホルモン分泌低下
などが挙げられます。
なお、頭痛についてはラトケ嚢胞が根本的な原因ではない可能性があります。
嚢胞が大きくなると、下垂体の上にある視神経を圧迫して視力障害、視野障害が発生することがあります。
また、下垂体ホルモン分泌の低下により尿崩症などを引き起こすケースもあります。
2と3の症状が出ている場合には、症状改善のために、手術が検討されます。
一方で、頭痛についても、嚢胞内の粘液が漏れ出したことで周囲に炎症を起こして強い頭痛を引き起こしている場合があります。
症状が頭痛だけの場合でも、不安ならば迷わず医療機関を受診、相談しましょう。
ラトケ嚢胞の画像所見
実際の画像を見て所見を一緒に確認しましょう!!
40歳代女性
T2強調像のaxialです。
下垂体の付近に高信号を呈してる範囲がありますね。
T2強調像では、水成分を高信号として画像に描出するため高信号になっている箇所に液体系の何かがあることが考えられます。
T2強調像のsagitalです。
axialと比較して下垂体の観察がしやすいですね。
きんちゃんが撮影してたまたま見つけたときもsagitalの撮像シーケンス追加をドクターから依頼されました。
より嚢胞性病変である可能性が高まりました。
T1強調像のsagitalです。
T1強調像では嚢胞内が低信号になりました。下垂体後葉がT1で高信号を呈するのは正常な信号なのですが、嚢胞性病変があることで圧迫されているようにも見えます。
以上、ラトケ嚢胞を疑う所見でした。
手術方法は?
経鼻的手術があります。
鼻の穴から内視鏡を挿入して、ラトケ嚢胞に穴をあけます。
穴をあけると内部に溜まっていた粘液が出てくるため嚢胞自体は小さくなります。
圧迫していた神経などが解放されることで、視野障害などが改善することが期待できます。
ただし、再発して大きくなる可能性があるためフォローアップは必要でしょう。
まとめ
いかがでしたか?
きんちゃんがこの前たまたま発見したため、より具体的な情報を学ぶための機会として
この記事を書かせていただきました。
ラトケ嚢胞は基本的には、症状が出ていない限り治療の必要はありません。
ただし、頭痛や視力障害など何らかの影響を思い当たる場合は医療機関を受診することをお勧めします。
もしもMR撮影中にラトケ嚢胞と思われる所見を見つけた際はsagital画像の撮影を検討してみてはいかがでしょうか?
ではまた
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