ポータブル撮影で失敗しないために大切なこと

ポータブル撮影は、レントゲンをある程度1人で回せるようになったあたりで覚える業務ではないでしょうか?
病院によっては、「病棟巡回ポータブル撮影担当者」なるものが担当することもありますね。また、飛び入りでポータブル撮影の依頼が入ってくることもあります。
そんな連絡がきたときに、「うわっ、、、」と感じる人には、ぜひ今回の記事を読んでほしい!そんな思いで執筆しました。
この記事を読めば、ポータブル撮影に対しての苦手意識をなくし、自信満々で検査できるようになりますよ!
撮影した画像がいまいち、、、

皆さんが撮影したポータブル画像は、「良い画像」ですか?それとも「いまいちな画像」ですか?
ポータブル撮影に自信がない方はこのような経験をしていること多い気がします。
- 体やパネル(FPD、CRカセッテ)が斜めになっている
- 目的部位が見切れている
- 再撮影依頼が来た
- ポータブル装置がうまく操作できない
- 姿勢保持や撮影で手が足りない
などなどetc…
患者一人一人の自立具合が違う+ポータブル装置の扱いづらさが、ポータブル撮影への自信喪失に拍車をかけているときんちゃんは考えます。
マインド的な部分でいえることは一つ、ひたすらやって慣れろ!!
です。(笑)
ポータブル撮影で重要なのは、慣れとポジショニング

結論、ポータブル撮影で自信をもって出来るようになるために大事なことは2つです。
ポータブル撮影は、レントゲン撮影と同時進行で覚えるように言われる業務、という印象です。(きんちゃんも事実レントゲン撮影でいろいろな部位の撮影を学びながら、たまに先輩のポータブル撮影に同行して教えてもらっていました。)
病院によっては、毎日のポータブル撮影担当者に教わりながら実戦形式で覚える、というパターンもあることでしょう。
レントゲン撮影である以上は、ポータブル撮影でも意識することは同じです。一緒にポータブル撮影への自信をつけていきましょう!!
レントゲン撮影の大事な2つのことは、こちらの記事でまとめています!レントゲン撮影のレベルを上げたい方はぜひご覧ください。
ポジショニングを極めれば、ポータブル撮影は怖くない

ポジショニングを極めればポータブル撮影は怖くありません!
きちんとした画像が撮れるようにポジショニングを続けていれば、いまいちな画像になってしまうことはないはずです!!(機械トラブルや撮影条件の設定ミスなどは除きます。)
ポータブル撮影の一連の流れをまとめました。大事なポイントを抜粋して紹介しているので、ぜひ明日からの検査で実践してみてください!
ポータブル装置を押しながら、目的の患者の病室まで来たところからスタートです!
患者の本人確認(必須!!)

まずは患者の本人確認です!!撮影準備を始める前に、何より最初に行わなければいけない作業です!!
患者の本人確認は、その患者の状態によってやり方を変えるようにしてください。意識のない患者に、自分の名前と生年月日を言ってもらうことはできないですからね。
3か所の病院を経験してきた中で、病棟患者の本人確認はこんなやり方がありました。
誤った患者に被ばくさせた場合は立派なインシデント(というかアクシデント)になるので、確実にその可能性を排除してください!!
これはポータブル撮影に限らずの話です!どんな検査でも、まずは本人確認をしましょう!👍
撮影環境を整える

本人確認が完了したら、早速撮影準備に移っていきます。まずは、撮影体位を確認してください。
ポータブル撮影オーダーが入る患者は、基本臥位か坐位のどちらかです。立位の場合もありますが、超低確率ですね。
やることは大きく分けると3つです。
一人で撮影する場合は、順番に1個ずつやれば大丈夫です!2人で病棟を巡回する場合は、効率重視で相手の作業とは異なる作業に手を付けると良いでしょう。
ベッドの上にはいろいろなものが転がっていることが多いので、撮影の邪魔になります。患者の許可を必ずもらってから移動させるようにしてください。下手に障るとトラブルのもとになります、、、
また、ナースコールのコードや点滴のルートが、ベッドを動かしたときに引っ掛からないように注意も必要です。
ポジショニングを手早く行う

撮影環境を整えたら、患者の背中にFPD(あるいはCRカセッテ)を入れて手早くポジショニングを完了させましょう。
患者状態が悪いため、ポータブル撮影でのオーダーが出ているわけです。そんな患者に硬くて冷たいFPDを背中に突っ込んだら、痛がられるのは当然。
きんちゃんが実践している次のステップを参考にして、ポジショニングを完成させましょう。ポータブル胸部臥位を例にします。
- 患者をまっすぐに寝かせる
- X線管球を患者に対して垂直入射する位置に持ってくる
- 大体の位置で、背中にFPDを入れる
- 肩がFPDからはみ出ないように、上下方向を合わせる
- 脇に手を入れて、FPDが指先にあたるように左右方向を合わせる
この5ステップで、ポジショニングは完了します。
装置・撮影条件の最終確認

ここまでくれば、最後にやることは2つ。
患者に対して放射線が斜めに入射してしまうと、正確な画像評価ではなくなってしまいます。FPDに対して放射線が垂直に入射する必要があります。
X線管球から放射線が出て、垂直にFPDに入射するか、入射中心点がずれていないか、その重要性が気になる方はこちらの記事も併せてご覧ください。
ポジショニングはもちろん、入射中心点についての重要性をまとめました👍
撮影条件も曝射直前に最終確認をしましょう。ポータブル撮影における適切な管電圧、mAs値になっていますか?
撮影ボタンを押す前に確認をすると、撮影条件を変えていなかったことに気づけるときがあります。無駄な被ばく、不十分な線量での撮影はしないように心がけましょう!
撮影画像をチェック、必要なら再撮

撮影後は、必ず画像を確認して検査を終えてもよいか?確認する習慣をつけましょう!
きんちゃんが考える、絶対に確認してほしいポイントは次の4つです。
- 撮影部位が見切れていないか?
- 斜めから入射していないか?
- 画像のブレはないか?
- 検査目的は果たせているか?
FPDの位置がずれていることで、目的部位が見切れていることがあります。画像が斜位になっている場合も同様です。FPDの位置、X線管球の位置と照射野を調整してもう一度再撮をしましょう。
撮影直前に、患者が動いたことで画像がぶれてしまう場合もあります。意思疎通ができない患者や姿勢保持が不安定な場合に起こりがちなので、撮影タイミングも要注意です。
一番大事なのは、検査目的を果たせているか?です。他3つが多少イケていなくとも、検査目的が達成されているなら撮影終了の判断を下す例もあります。
実際に会ったケースとしては、胃管(マーゲンチューブ)挿入後の先端位置確認でポータブル胸部撮影をした時です。肺野は欠けていましたが、先端位置は確認できたため検査終了しました。
上記4つを満たせているなら、ポータブル撮影完了です。お疲れさまでした!!👍
まとめ:ポジショニングに強くなれば、ポータブル撮影ができるようになる

ポータブル撮影で悩む技師の多くは、「撮影条件」や「装置の性能」に意識が向きがちです。しかし、本当に大切なのは“患者をどのように配置するか”、つまりポジショニングの技術と工夫です。
撮影できたから終了!で終わるのではなく、「なぜこの位置にしたのか」「どうすればもっと良くなるか」を一つずつ考え、積み重ねることが成長につながります。
ポジショニングを意識することで、ポータブル撮影が「難しい苦手な仕事」から「工夫しがいのある技術」へと変わっていくはずです。
今回ご紹介した5つのステップを繰り返し行うことで、誰でもポータブル撮影ができるようになります。
- 患者の本人確認
- 撮影環境を整える
- ポジショニングを手早く行う
- 装置・撮影条件の最終確認
- 撮影画像をチェック、必要なら再撮
この5つのステップを意識しつつ、先輩たちの動きや工夫を学びながら、ポータブル撮影の苦手を克服していきましょう!!
ではまた
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