本日は、「もやもや病」です。
特殊な病名をもつ症状ですが、それによって引き起こされる症状は恐ろしいものです。
一緒に学んでいきましょう!!
もやもや病ってどんな病気?
原因は不明です。
後天性のものであると考えられていますが、家族内発症のケースもあり、詳しいことは解明されていません。
主に、小児~若年成人に好発します。
臨床症状としては、
- 小児→虚血性(一過性虚血発作、脳梗塞)(過換気が誘因となりやすい)
- 成人→出血性(くも膜下出血、脳出血)
が挙げられます。
ちなみに、小児の発生機序は、過呼吸→アルカローシス→脳血管収縮→脳虚血症状の順番です。
激しい啼泣や運動、楽器を吹いた時や熱い食事をした時の過換気により意識消失や、麻痺様の脱力発作を起こすケースがあります。
なお、病名に含まれているもやもや、についてですが、
Willis動脈輪閉塞断端部から脳底槽および基底核穿通動脈に側副血行路である異常血管網、いわゆるもやもや新生血管が発達(脆弱な穿通枝同士が吻合をきたすのが特徴。)するので、もやもや病と称されています。
どんな部位に生じるの?
閉塞箇所は、前方循環系、特にICA(内頚動脈)末梢からMCA(中大脳動脈)、ACA(前大脳動脈)に好発します。
また、ICAの比較的近位側(C5~C4)から高度狭窄、閉塞をきたす症例もあります。
診断の際は、MRIによる脳血管造影、TOF MRAの画像を撮像することで血管の消失や閉塞箇所の特定をすることが可能です。
他には、脳血流シンチグラム、脳波(過呼吸負荷で全般性連続性徐波)による診断が行われます。
どのような所見が見られるの?
それでは、実際の画像所見を見て一緒に理解を深めていきましょう。
20歳代女性
T2WIで本来見えるべき、両側MCA血管径が描出されていないように見えます。
その代わりに、微細な血管(もやもや血管)が確認できます。
FLAIRでは脳表に沿って、脳溝内に血管内腔の高信号を認めます。
これは、正常では認めない所見で、ivy signといいます。
一番もやもや病だと分かりやすいのはMRAではないでしょうか?
皆様が知っている正常な脳血管の走行と比較して、細い血管が主幹動脈にびっしりと絡みつくように複雑に走行しています。
また、両側のMCAおよびACAを認めていません。
結果、もやもや病として診断されました。
もう一つの事例もご紹介します。
50歳代女性
右MCAが正常に描出されているのに対して、左MCAは消失しているように見えます。
元画像で確認すると、左MCAがあると思われる箇所に微細な血管の走行が認められます。
片側性のもやもや病を疑う所見です。
治療方法は?
現在、もやもや病に対する特効薬はなく、血管の狭窄を防ぐ方法はありません。
内科的な療法としては、以下の対症療法に限られます。
- 発作を減らすことを目的とした血圧コントロール
- 血栓形成防止を目的とした抗血小板療法
- 脳出血を発症した患者に行う、脳圧を下げる治療
また、手術療法としては「血行再建バイパス術」があります。
STA-MCA anastomosis(浅側頭動脈ー中大脳動脈吻合術)が行われます。ICAの閉塞なのでECA(外頸動脈)の枝であるSTA(頭蓋外を走行)からMCAに血流を送れるようにします。
まとめ
いかがでしたか?
きんちゃんがこの前業務をしていた時に、発見し損ねてしまったのが、この記事を書いて情報共有しようとしたきっかけです。
もやもや病は対症的な解決方法がメインのため、1日でも早く発見することが非常に重要です。
もやもや病について学びたい学生、新人技師、ならびに日々放射線技師として業務に従事していらっしゃる皆さまの役に立てれば幸いです。
一緒に少しずつ成長していきましょう!!
ではまた
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