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[新人技師必見!]胸部撮影で、気胸は見逃せない!!

きんちゃん

胸部なら、まずは「気胸」から

胸部のレントゲンを撮り始めたら、気胸には気づけるようにしたいところです!

この記事では、気胸がどのような状態なのかをまとめました。

記事を最後まで読めば、気胸の特徴だけでなく、気胸の探し方や見つけ方を理解することができるでしょう!

ぜひ、最後までご覧ください!

気胸の状態

画像引用:https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6730

我々の肺には、空気が詰まっています。

肺の中にある肺胞という場所で、空気中から取り込んだ酸素と不要になった二酸化炭素を交換する作業が行われています。

その外側で、本来は空気がないはずの場所に存在してしまっている空気気胸です。

主に、胸腔内にある空気を指します。

気胸の分類

画像引用:https://medicalnote.jp/diseases/%E6%B0%97%E8%83%B8/contents/170817-001-YL

気胸のタイプは大きく分けて2つに分類されます。

  • 自然気胸
    ①特発性気胸(ブラ・ブレブの破裂)
    ②続発性気胸(肺基礎疾患の合併症)
  • 外傷性気胸 ・医原性気胸

気胸というと、「長身で痩せ型の男性」がなりやすいイメージを持つ方も多いでしょう。

特発性気胸は、身長が高いほど肺尖部の胸腔内圧が低下してブラ・ブレブができやすいといわれます。

このブラ・ブレブが急に破裂することで気胸になるのですが、破裂する原因が不明のため「特発性」という分類がされているわけですね。

ブラ・ブレブの破裂によって気胸が起きるものを自然気胸と言います。

一方の外傷性気胸は、交通事故などの高エネルギーや衝撃で折れた肋骨や鋭い形状のものが肺に刺さって起こる気胸です。

外傷精査で胸水貯留や気胸を見つけたら、肋骨の骨折の有無も併せて確認する癖をつけるといいですね!

気胸の症状

気胸の代表的な症状として、急な胸痛呼吸困難が主に挙げられます。

ただし、肺の虚脱が高度の場合、胸痛はかえって軽減することもあります。

呼吸困難の具合は、程度が状況によってさまざまのため、偶発的に発見するケースがあるそうですよ。

医師が聴診器を使って呼吸音を聞くと、呼吸音減弱が見られます。

実際の画像をみてみよう

では、実際の画像を確認してみましょう。

<20代男性>

画像は、20歳代男性の胸部CTのaxial画像です。

右肺尖部にブラ・ブレブが発生、気胸も生じている様子が見受けられます。

ブラ・ブレブは2か所ありますね、皆様は見つけられましたか?

左右差があるため、新人技師でも見つけられるはずです。目を養っていきましょう!

もう一つ、別の画像も見てみましょう!

<40代男性 胸痛>

axialではもちろん、coronalでも気胸が左肺の広範囲に生じていることが分かりますね。

また、右肺は気胸にこそなっていないものの、肺尖部にブラ・ブレブを確認できます。

胸水貯留が顕著だったので胸水のCT値を測定したところ、CT値が20HUを超えていることが分かりました。

20HUを超えている胸水は、血性の成分が混ざっている可能性が高く、「血胸」であることが分かります。

ここまで気づけたらもうばっちりですね!!

気胸の見つけ方

気胸を見つけるのに最も手早く確実なのは、CTです。

レントゲンでも判別するポイントはありますが、気胸の範囲や位置、胸水が貯留しているのか、血液も合わせて貯留しているのか、などの総合的な判断はCTに軍配が上がります。

胸部CT撮影を行った際に、肺血管が描出されずに、真っ黒になっている場所が気胸を起こしている箇所です。

空気のCT値は-1000HUのため、画像上での気胸(=空気)は黒色で描出されます。

先ほどの画像をご覧いただければ、明らかな所見があることは容易に理解していただけることでしょう。

気胸はレントゲンでまず発見される

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ですが、胸痛の患者を全例胸部CTから撮影することはまずありません。

最初に行われる検査は「胸部レントゲン撮影」ですよね。

では、レントゲンではどこに着目すればよいでしょうか?

まずは、肺の外郭を追いましょう。気胸を起こしている肺は、通常のサイズよりも萎縮しています。

肺は萎縮しても元の形を保とうとするため、萎縮した外郭を探してください。

参考として、上記画像のように片肺が小さくなっている様子が見えますでしょうか?

おや?と疑わしい箇所を見つけたら、そこに肺紋理がないか確認しましょう。

肺の血管が走っていないのに、肺の形状を保っている場所は気胸を起こしている箇所である可能性が高いです。

特にブラ・ブレブの好発部位である肺尖部は見落としやすいので、特に注意して観察しましょう!!

気胸の治療方法

気胸の度合いによって、行う治療方法が異なります。

  • 軽度(Ⅰ度):肺尖が鎖骨レベルより頭側。→経過観察。
  • 中等度(Ⅱ度):軽度と高度の中間程度→胸腔ドレナージが望ましい。
  • 高度(Ⅲ度):全虚脱またはこれに近いもの→胸腔ドレナージが必要。
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(自然気胸治療ガイドラインより)

胸腔ドレナージの処置を行った患者のレントゲンは頻繁に撮影します。

くれぐれも撮影のポジショニング中にドレーンチューブを抜かないようしてください!!

まとめ

気胸がどういうものなのか、少しでも学んでいただけたなら幸いです。

胸部レントゲンで早期発見することがなにより患者のためになります。

CTで発見するのは容易ですが、その方の胸写だけを見て気胸の箇所を探すところから始めてみましょう。

初めは誰でも苦戦しますが、いつか必ずできるようになります。

一緒に頑張っていきましょう!!

ではまた

~画像、文章一部引用~

【画像あり】胸部CTで肺尖部ブラを指摘された!これって異常? (xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp)

気胸の画像診断、症状、原因、治療まとめ! (xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp)

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きんちゃん
きんちゃん
ブロガー/診療放射線技師
診療放射線技師として、転職を繰り返しながら3つの病院を経験。本業の傍らで副業でブログ「きんちゃんのラジエーションハウス」を運営している。
診療放射線技師を目指す学生、受験生→新人技師→3,4年目技師→転職→他病院でも通じるゼネラリスト技師をモットーに、各段階の方々を支えるブログ記事を公開中。
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