胸部のレントゲンを撮り始めたら、気胸と胸水には気づけるようにしたいところです!
この記事では、気胸がどのような状態なのかをまとめました。
ぜひ、ご覧ください。
気胸の状態
我々の肺には、空気が詰まっています。
肺の中にある肺胞という場所で、空気中から取り込んだ酸素と不要になった二酸化炭素を交換する作業が行われています。
その外側で、本来は空気がないはずの場所に存在してしまっている空気が気胸です。
主に、胸腔内にある空気を指します。
<気胸の分類>
- 自然気胸(特発性気胸、続発性気胸など)
- 外傷性気胸、医療性気胸
気胸の症状
急な胸痛と呼吸困難が主な症状に挙げられます。
ただし、肺の虚脱が高度の場合、胸痛はかえって軽減することもあります。
呼吸困難の具合は、程度が状況によってさまざまのため、偶発的に発見するケースがあります。
聴診器を使って呼吸音を聞くと、呼吸音減弱が見られます。
ちなみに、気胸を起こしやすい人に共通する特徴があります。
それは、
- 男性
- 気胸体型(長身、痩せ型、胸板が薄い)
というものです。
上記の特徴を持つ方は、自然気胸を起こしやすいです。
ブラ・ブレブの破裂によって気胸が起きるものを自然気胸と言います。
身長が高いほど、肺尖部の胸腔内圧が低下し、ブラ・ブレブが形成されやすいといわれます。
自然気胸の要因である、ブラ・ブレブが発生しやすいことで、
結果として自然気胸が発生しやすくなってしまうということですね。
では、実際の画像を確認してみましょう。
画像は、20歳代男性の胸部CTのaxial画像です。
右肺尖部にブラ・ブレブが発生、気胸も生じている様子が見受けられます。
ブラ・ブレブは2か所ありますね、皆様は見つけられましたか?
気胸の見つけ方
気胸を見つけるのに最も手早く確実なのは、CTです。
レントゲンでも判別するポイントはありますが、気胸の範囲や位置、胸水が貯留しているのか、血液も合わせて貯留しているのか、などの総合的な判断はCTに軍配が上がります。
胸部CT撮影を行った際に、肺血管が描出されずに、真っ黒になっている場所が気胸を起こしている箇所です。
空気のCT値は-1000HUのため、画像上での気胸(=空気)は黒色で描出されます。
では、レントゲンではどこに着目すればよいでしょうか?
気胸の画像所見(立位)
まずは、肺の外郭を追いましょう。気胸を起こしている肺は、通常のサイズよりも萎縮しています。肺は萎縮しても元の形を保とうとするため、萎縮した外郭を探してください。
疑わしい箇所を見つけたら、そこに肺紋理がないか確認しましょう。
肺の血管が走っていないのに、肺の形状を保っている場所は気胸を起こしている箇所である可能性が高いです。
気胸の治療方法
気胸の度合いによって、行う治療方法が異なります。
- 軽度(Ⅰ度):肺尖が鎖骨レベルより頭側。→経過観察。
- 中等度(Ⅱ度):軽度と高度の中間程度→胸腔ドレナージが望ましい。
- 高度(Ⅲ度):全虚脱またはこれに近いもの→胸腔ドレナージが必要。
(自然気胸治療ガイドラインより)
胸腔ドレナージの処置を行った患者のレントゲンは頻繁に撮影します。
くれぐれも撮影のポジショニング中にドレーンチューブを抜かないようにしてください!!
まとめ
気胸がどういうものなのか、少しでも学んでいただけたなら幸いです。
胸部レントゲンで早期発見することがなにより患者のためになります。
CTで発見するのは容易ですが、その方の胸写だけを見て気胸の箇所を探すところから始めてみましょう。
初めは誰でも苦戦しますが、いつか必ずできるようになります。
一緒に頑張っていきましょう!!
ではまた
~画像、文章一部引用~
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